旧玄関の玄関灯は壁スイッチと内部電線が破損しており30年以上点灯することができませんでした(我々も記憶にないほどなので正確にはわかりません)
今回、玄関灯内部に無線にて作動するLED電球を仕込み、破損していた壁スイッチ内に連動させる無線スイッチを埋め込み、玄関灯を点灯させる仕掛けを専門の方に作成して頂きました

この玄関灯は1934年竣工当時のものであったためこれをそのまま活かして玄関灯を復旧させるという方法をいくつか模索していました
まず、旧玄関内の天井と壁の内部配線が通電しているかを確認するために天井と壁を開ける必要があり、さらには破損している壁スイッチを復旧させることが困難であることからも、新たに天井裏に電線を配線するにしても照明のスイッチを新設する必要がありました
そもそもこの部屋は損傷が激しいため基本的には立ち入り禁止としていて使用しておらず、天井と壁も崩落してしまっていたのを仮でベニヤを貼っている状態のままなこともあり、部屋内すべてを安全に利用できるよう復旧させるには費用的に難しいこともあり、玄関灯の照明復旧もそこまで費用をかける必要性も優先度も低かったのでなるべく低コストで復旧させたいという思いがありました
そのため天井や壁を開けてまでの大掛かりな工事は現実的ではなく、さらには玄関灯が吊るされている鉄製の円柱内に配線されている電線を新しいものへと替える作業が円柱が細いため大変困難であり、すべてを他の類似商品で代替えする以外にはこの部分を複製するしかないとのこと、またスイッチを新設させるのではなく既存の壁スイッチを活かせる方法があれば一番良いという考えからも玄関灯の復旧はしばらく見送っていました
今回、すべて既存のものを活かしたままで内部に無線スイッチを仕込むことで玄関灯を復旧させることができるという話を聞き、30年以上ぶりに復旧するに至りました

取り外し

電灯が取り付けられていた細い鉄製の円柱内に電線が配線されており、ここに新たに電線を配線するのが不可能とのことで、類似の商品にこのような形のものもなく似たようなものを複製するしかないとのことでした

無線スイッチ

無線で動くLED電球は充電式なのでバッテリーが切れたら照明器具から取り外し充電する必要があります
壁スイッチ内には無線スイッチを埋め込んでおりこちらは乾電池で作動しています(現状電池がスイッチ内部に入りきらず外に出てしまっていますが今後埋め込みます)
この壁スイッチは調べたところ1900〜1920年頃のアメリカ製品らしく、アトリエが竣工する1934年にアメリカから取り寄せて設置したものかと思われます
アトリエ内でこのタイプの照明スイッチはこの部分だけで、更には金色が使われてる金具も他にないためこの部分だけ特殊な作りとなっていたようです

点灯

無事点灯させることができました
電球は当時使われていたと思われる10W程度の明るさの暖色系のLEDを使用しています
現在のアトリエの周りは現代的なアパートに囲まれた住宅街なため周囲の照明に比べると暗く感じてしまいますが、竣工当時はこの周りには畑が広がっておりその中にこの白く角ばった近代的な建物が建てられ、玄関はこの赤い扉とこの電灯がアクセントになっていたかと思うと一際インパクトのある建物であったのかと思います